恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

角川短歌12月号にぢいさん長餅

退院後、急に調子が悪くなり、ほぼ寝たきりで2日おきに通院する日々を一週間おくり、今日は開腹の、いやいや、回復の兆しアリ。

昨日、定期講読の雑誌をまとめて母に受け取りに行ってきてもらいました。『短歌研究12月号』が特別定価で高くなってたため、またしても母は「短歌の本は高い」と思っちゃっただろうなあー...。

『角川短歌12月号』角川歌壇 坂井修一選 佳作で一首採ってもらってました。

ぢいさんが長餅食らふその様は「我が子を食らうサトゥルヌス」に似て/森緑

えー!?これ??
見たまんまなのにいいのかな、、、と一番迷いながら送った一首だけが採ってもらえる謎現象、、、

ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」を観るたび、その背景のストーリーを知っていても、じじいが長餅むにゅーって食ってる様子に見えてしまうんですよね。

こちらの画像を見せた旧友は、隣にならんでるほかの方の短歌も読んで感想を伝えてくれたのがうれしかった。
自分の一首をきっかけにほかの歌人の歌や、短歌そのものに触れてくれる人がいるなんて、まさに生きてる甲斐、生き甲斐があります。

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【今日のうた】

弁天堂のむかうほかりと見えてくるだぶだぶコートの鳥おばあさん

 坂井修一『牧神』

入院、手術、退院してきました

見ますか?見ますか?
摘出した内臓とその外側に大きく張り出した筋腫のグロ画像!凄いですよ!笑。

まだうちの中をのろのろ歩くだけで必死です。思ったより退院後のほうが大変かも。

あと、麻酔が切れた後つらくなると脳内の言語が英語で流れていたのが謎現象だった...。


【今日のうた】

くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる

 正岡子規(明治33年の作)

たぶん、わたしのはじめて短歌はこのうたかな?とおもいます。子供の頃に出会って印象的でとても好きだったのを入院中に思い出しました。

詠み込む言葉の選択も大事!の巻

今月は体調も何とか戻り、名古屋で短歌の講座に出席できたー。\(^o^)/デキター!
(先月は体調不良で欠席...)

途中、加藤先生に「森さんは...今日が初めてですか?」と聞かれて「は、八月から居ますぅ...」と焦って答えるハプニングもあり。
キャー、、、わたしの存在感の無さもここまで来たら、くのいちになれるぞよ...。
(´д`|||)

今日の宿題は「文」を詠み込むこと。まだまだおっかなびっくりなので、また3パターン作っていった中から様子を見て一首を提出。

三日後に開腹手術 まっしろなニベアで腹に描く一文字 (森緑)

「腹」が重なってる点を指摘していただいて修正

三日後の手術を思う まっしろなニベアで腹に描く一文字


(手術、ほんとは五日後。うわあー、こわいよー。)

「文」を詠み込むにも人それぞれで(ほんと、思い付かないようなの色々あった!)、選択する言葉の大切さを学ぶことができました。


【今日のうた】

術前に読んでゐたのは誰だつたか術後異質な本が読みたい

 岡井隆『暮れてゆくバッハ』

角川短歌11月号に3首載ってた

角川短歌は買ってきてあったのに、なんと、完全に見逃してました。なんとのんきな、はは。。。


題詠「恋」をうたうで1首

きっともう好きになってる 霧雨に傘もさせずに爪先みてる

角川歌壇の佳作

王子様なんてどこにもいないんだ 今日も閉店まで勤めます

ヴィックスの青いドロップなめている時だけ黒い魔法がとける

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短歌を続けていたら、自分のうたがどん底に下手で情けなく思えるときがある。下品で通俗的ガサツで美的でない。泣けてくる。

そんな時に数ヵ月前の自分から届けられたうたが雑誌に載って、好評価な言葉をたった一言いただけると、とてもうれしい。でも数ヵ月前の自分よりも今、ちゃんと強くなってるか不安にもなる。

読書エッセイが載ったことはあるけど、短歌で雑誌に載るのは初体験。
やっぱり、短歌、わたしにむいている、かも。


【今日のうた】

食べ終えしリンゴの種を埋める時病みて死にたる教師を思う

 森垣岳『遺伝子の舟』

『遺伝子の舟』という歌集は農業高校の先生のつくるうたということで理系っぽいだろうかと身構えましたが、すぅっと浸透しやすいうたが多かったです。
わたしは趣味の園芸の一環として、食べた野菜や果物の種を埋めるのが好きなんですが、そこに発芽する楽しみを見出だしてました。このうたの人は病気で死んだ教師を思うというのです。その教師が病床でリンゴを食べていたのを思い出したということでしょうか、あるいは、農業高校でリンゴ栽培に携わっていた教師を思い出したということでしょうか。のんきに種まきをしていたわたしに、「あっ」と衝撃を与える一首でした。(感想: 森緑)

結社に入ることを考え始めた。

なんと、いよいよ結社に入ることを考えるようになりました。

いろんな先輩に話を聴いたり、偉大な歌人の存在に思いを馳せたりするなかから、引き寄せられるようにそのような考えに至りました。
ご縁です。引力です。運命です。

インターネットは広く開かれているようだけど、わたしはもっと深く生身の師弟関係のなかに立ってみたいと思うし、そっちが向いてると思う。

短歌をある日突然はじめて半年、そろそろ「短歌ヒヨコ」の看板を下ろそうと思います。まだまだ初心者ですが、先輩方との交流を深めるなかで自分の殻を内側からこわしていきたいという気持ちからです。


【今日のうた】

雪の夜に食べる動物ビスケット やる気もなんにもないんだ今夜

 大辻隆弘『水廊』

すべての音が吸収されてしまうような雪の夜、あのおなじみの愛らしい動物ビスケットを食べるその時、独りなのでしょうか。それとも疲れた恋人のためにそっと差し出された優しい動物ビスケットをかじったのでしょうか。やる気もなんにもない雪の夜かんて、星降る晴天の夜より断然、切ないはず。おだやかな味わいの動物ビスケットを独りぼっちで食べるのでなければいいな、と勝手に願いつつも、きっと独りぼっちなのだろうな、その孤独でやるせない夜すら、うたになるとこんなに美しいのだなあと染み入るように感じました。(感想:森緑)

岡井隆さん

前から楽しみにしていた名古屋での岡井隆さんの講演会でした。

80代の短歌スーパースターは凄かった。
岡井隆さんが準備された手書きの原稿用紙の文字も素晴らしく味わい深くて好きなタイプの書でした。
(わたし、四年間書道サークルで書いてたから、人の書いた文字をじっくり見るのが好きなんです)

戸田響子さんの短歌が斎藤斎藤さんや穂村弘さんといっしょに例に挙げてあり、短歌のお姉さま、凄い!と思いました。わたしもとても好きなうたです。
バラバラになってもバナナはバナナなのにテープで房を固定する父 (戸田響子)

講演会の後、短歌のお兄さんこと小坂井大輔さんのお人柄と社交性に感嘆しつつ、人見知りながらも短歌のお兄さんのサポートを得て、新しく短歌の交遊関係を広げることができて、先輩方にいろいろな話が聴けて、充実のいちにちでした。

そんななかで、好きな歌人の作風と自分のダメ短歌が違いすぎて悩んでる件について相談した時、とても有効なヒントをいただけたのですが、そのとき「好きな歌人は...」って明かした場面は、ここ最近ないけど片想いの相手を気心知れた友に打ち明け話をするシーンにも似て、あとからちょっと照れました。

短歌ヒヨコ、ちょっとずつ世界が広がって、背中を押してくれる先輩方にも出会えたり、自分の殻を内側から壊していける予感がします。


【今日のうた】

詩はつねに誰かと婚ひながら成る。誰つて、そりやああなたぢやないが。

 岡井隆(『未来』近号から、とのことでしたが何号かはわかりませんでした)

今日の岡井隆さんのお話を楽しく拝聴し、そのチャーミングな感じ(なんて、わたしごときが言って良いのか?)が下句「誰つてそりやああなたぢやないが。」にぎゅっと表れてるように思いました。(感想: 森緑)

中日歌壇2016/10/10

この頃は両親の方が先に中日歌壇をチェックし、載っていないと明らかにがっかりしてるようなので、こっちがモヤモヤする。

「まだ4回ぐらいしか葉書出してないから!」
「朝刊には載りそうにない陰気な短歌しか送ってないし、小島ゆかりさんに一目読んでほしい片想いのラブレターみたいなもんだから!」
、、、とか両親に言っても言い訳にしか聞こえないだろうから黙して、毎週月曜は「ぐむむむ...」とやり過ごしてるんだけど。

今朝も言うに言われぬ憂鬱な言い訳と共に居間に降りると、母から「新聞、載ってるよ!」って朝刊渡された。

あ、そう、いや、あの、そう、、、みたいなね。
あまり両親を期待させないように喜んで見せないように控えたりして。はは。。。

これ、たぶん、一ヶ月くらい前に最後に送った短歌だとおもう。
うたの日の題「挽歌」でつくったけど出さなかった方のを中日歌壇に送ったのでした。


眠る前となりに居る気がするたびに呼んでみてさらにしんとする夜 森緑(中日歌壇2016/10/10)

寂しさが、ゆっくりとじわじわと胸に伝わってくる。内容を生かすリズムに魅力がある (小島ゆかり選評)

わあ...憧れの小島ゆかりさんにちゃんと読んでもらえてるんだぁ...ちょっと褒めてもらえてるの、凄くうれしいぃ...。きゃあぁ...。

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【今日のうた】

ドリブルの音の絶えたる真昼間はふかぶかと夏を待つ体育館

 大辻隆弘『水廊』(「恋してしまふ」)

ぼつになったのはどうしたら?

このところ、病院で検査だの、手術の決心だの、ミセ辞める宣言だの、気を張ってばかりいた反動か、頭痛にめまいに熱まで出ちゃって、月に一度の名古屋の短歌講座をお休みしました。しょぼーん。。。

ところで、新聞歌壇とか応募して採用されなかったうたは、廃棄処分しかないのな??
直してリサイクル、別のどこかに応募したらだめなのかな??

そんな横着をおもいつくようになるなんて、堕落のはじまりだろうか...。


【今日のうた】

たった今ねはんの過ぎてゆきたるとひざしの揺れのなかに山鳩

 吉川宏志『夜光』(『セレクション歌人32 吉川宏志』)

地獄ミセ辞めるぞおー

田舎のド腐れジャスコの本屋、辞めることにしました。
イエーーーーイ!

早く辞めたいけど、ブチ切れながらあと半月。

11月には子宮全摘出手術の予定で、それまでの10月後半と、退院後の年内はのーんびりしたいと思います。

短歌もぼちぼちやってますよ。ふふ。

【今日のうた】

お前さえいれば何にもいらないと言う男ならこちらが要らぬ

 玉井綾子『発酵』


これ、めちゃめちゃ共感するーー!!

ヒヨコ、はじめての短歌結社誌を買う。

週末の名古屋遠征前にちくさ正文館さんに電話でトリオキお願いしておいた『未来9月号』を、どきどきしながら読んでます。
ヒヨコ、はじめて短歌結社誌というのを読んでます。もう、もう、凝縮されてて、船酔いみたいになりながら読んでる。ぐらんぐらーん。。。

ヒヨコ、結社のしくみが何にもわかってなかった。三顧の礼により弟子入りを許可されるものかと思ってた。
短歌のお兄さんに相談して教えてもらったことと、はじめての結社誌を読んでみて、結社というものがちょこっとだけわかった気がする。

結社なんて、わたしみたいなヒヨコにはまだまだ手の届かない世界におもうけど、いっしょに切磋琢磨できる友がいるのは、凄く憧れる~。

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【今日のうた】

草枕修学旅行の夜投げた枕が土星の辺りを通る

 戸田響子『未来9月号』「枕投げ」

読書合コンのち平和園のち...

今回は、盛り盛り沢山の遠征でした。
ほぼどこでも全力疾走していたので、初めて会った人にはきっと「ぜぇはぁしてる人」と覚えられたことでしょう。

読書合コンでは、「おすすめの本」というテーマで持参した1冊を紹介しあって、その後2人きりどきどきトークの時間がありました。わたしは、ふせんビラビラに貼った蒼井杏さんの『瀬戸際レモン』をもっていきました。男子の顔も名前も全然覚えてないし、結果、誰かとカップルになることは無かったけど、「短歌おもしろいですよ!!!」ってことをとにかく伝えて帰ってきたから、これでいいのだ!バカボンのパパなのだ!

そのあと、ちくさ正文館さんで収穫してきた『未来9月号』をもったまま、歌人の聖地・平和園へ。

短歌のお兄さんは、ほんとうに守護天使のようなお兄さんです!お仕事中なのに申し訳ないくらいみっちり短歌の悩み相談に答えてもらって、励ましてもらえたので、ヒヨコもっと短歌力を高めて積極果敢にネットでも投稿でもリアルでもあちこち出掛けて行きたいなあー、と思いました。

合コンで短歌のことしか話せずに独りで帰る平和園まで


ヒヨコ、ちょっと勇気だしてその場でできたうたを短歌ノートに書いてきました。今みると、状況そのまんまですね。はは...。


そのあと、また読書合コンの反省会と月イチの発散おしゃべりにcesta さんへ戻り、前から会ってみたかった小説を書いてるもやしさんに会えたので、終電近くまで話して、おすすめの本を貸してもらいました。もやしさんがわたしの話すことが珍妙だったのか、しきりにメモとって聞いてくれてたのが新鮮でこそばゆくて面白かったなあー。


たくさんの人に会って話すと、自分のことを冷静にふりかえることができて、窮屈な殻を脱ぎ捨てることができるんだな、と今回は強くおもった。
ヒヨコの歩幅で一歩一歩成長しておりまするよ。


【今日のうた】

心臓は思ったよりも右側にあるのですって コサージュをさす

 蒼井杏『瀬戸際レモン』多肉少女と雨


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宿題ができない。。。

この頃、疲労がひどくて帰っても短歌できてない...。
宿題「踊」がむつかしくて、浮かんでこない...。


でも、明日がんばって働いたら、明後日は名古屋で読コン、そして毒抜きしてきます。
歌人の楽園・平和園でちゃーはーーーんしてリフレッシュしてきたいです。

そしたら宿題もできるかな?


【今日のうた】

純白の石鹸で手を洗ひたり富士を見にゆく十月の朝

 小島ゆかり『泥と青葉』