恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

どこの結社がわたしにしっくりなのか?

起きたら『歌壇6月号』の古本が届いていた。角川『短歌年鑑』の中のどこかでこの号に結社の特集が載っていたことを知り、急いで取り寄せた。

ここ数日、わたしの運命の結社はいずこに...と考え込んだり悩んだり。はい、もう、結社に入りたいというのは決心できたのですが、どこに?が決まらなくて。

『歌壇』の特集で米川千嘉子さんがおっしゃってるこの部分(32p)、「自分が縛られる、という点でいうなら、むしろさまざまな媒体や大会などの一回一回、一首一首だけの投稿勝負だけを自分の場にしていることの方が危険な場合もあるかも知れない。選者に挑むような作品ならもちろん素晴らしいが、大量の作品から選ばれ承認されるための言葉を磨くばかり、受けを狙った比喩のバリエーションを増やすばかりで、結局自分の大切な何にも踏み込んでいない、という空虚なことになってはいないか。自分の現実や自分を流れた時間、さらに自分の全体性とでもいうべきものに関われる歌、すなわちあくまでも自分ベースの歌を思い切った試行錯誤もしながら継続的に作ってゆける「場」として結社というものを大切に考えたい。」は、少し前から疑問に思っていたことの答えみたいで、結社に入りたい気持ちをさらに強く後押ししてくれました。

結社ごとの特色が紹介されたページは、そこもうちょっと具体的に...!!と思いましたが、気になる結社がいくつも登場していたので食い入るように読みました。

わたしが根を下ろして短歌活動、タンカツをがんばれる場所、まだ迷ってます。いきいきと活躍されてる短歌先輩をまわりでまたはネットで見ていると、わたしもそうなりたいって思います。もちろん、おなじ結社に入ったからおなじように活躍出来るわけじゃないですが。

あーあ、結社にもスカウトマンがいて、キミ、うちの結社に来ない?って声かけてくれたら運命感じてついてっちゃうかも知れないぐらい今悩んでますよー。


【今日のうた】

ペンパイナッポーアッポーペン」と唱へつつ五百羅漢のあたまを撫づる

 小池光『短歌1月号』新春74歌人大競詠から

雑誌に載ってみて思ったこと

『短歌研究1月号』詠草に載せてもらって、最初はうれしいよりびっくりしたのですが、よくよく考えてみると、色んな人の目にふれるということなのでちょっとこわくなってきました。

「あんな剥き出しの感情をブチまけたような短歌は美しくない」とおもう人もいるでしょう。誰よりわたしがそう思います。もっと良い言い様があったかも知れないし、今のような素の感情のまま切り出してきた詠い方ではだめなのかも知れない。

「こんな下手な短歌が選ばれるなんて!」と憤慨する人も凄くたくさんいるでしょう。それはちょっと怖い。わたし自身、短歌をはじめた時は短歌で競うことになるとは考えてなかったので戸惑っています。

でもわたしみたいな初心者のへんな短歌も漏らさずちゃんと読んでもらえてることはすごいことだなぁと思います。短歌の世界には詠草を送る人と選者の間の信頼関係がきちんと成り立ってるということなのかな、と思います。プロの超凄い歌人とはじめたての初心者が投稿でつながってるとか、作家とファンがとても近いのがマジですばらしいといつも感激してしまいます。


あと、よく考えず、子宮とか卵巣とか詠んだことで、作者の性別をわざわざ明らかにしてしまったんだなあ、、、と誌面に載ってから気付きました。
わりとどっちの性別にも取られがちな名前なのですが、短歌の「私性」の話ではないですけど、自分にひきつけて詠むとこういうこともあるんだなあ、と思いました。いや、考えが浅かっただけですね。はは。


雑誌に載ることは驚きとどきどきがあるし、中日新聞に載ると憧れの小島ゆかりさんに読んでもらえたーって喜びがあるのだけど、やっぱり今回ちょっと怖くなったので、大風呂敷ひろげないように自分にみあったペースで続けようと思いました。

そのためにも、何でもかんでも葉書や応募券が巻末についてるからとかいうだけで数打ちゃ当たる的に投稿しないで、誰に読んでほしいとか、ちゃんと考えていこうと思います。たとえば、読みたいと思ってくれる人に読んでもらえるネットプリントとかフリーペーパーとか、そういうの、いつかチャレンジしてみたいです。

そして棚上げにしてる(つもりだった)「どこの結社が自分にしっくりなのか問題(ババン!!!)」にも、年が明けたら向き合いたいと思っています。
(結社の特集をしていたという『歌壇6月号』の古本が年明けにしか届かないのです)


【今日のうた】

羽田発2時50分見下ろせばアイスクリームのような富士山

 俵万智『短歌1月号』

またまたビギナーズラック発動か!?短歌研究1月号詠草に5首

『短歌研究』の詠草に初チャレンジしたのは、入院するかもやもやしてた頃でした。はがきに5首書くのはバランスがむずかしいし、三角の応募シールもどこに貼ったらいいかもわからないし、わあー、ハードル高い!と思いながらおそるおそるポストにインしたのだけど、その5首が準特選で掲載されてました。

うわぉ!出た!毎度毎度のビギナーズラック!!!

これからは二回目以降もコンスタントにタンカツしていきたいです。タンカツ!タンカツ!
まだ短歌研究の点数システムもあんまりよく理解できてないけど、まずは続けてみます。


年老いた母の運転に身をあずけ病院まで聴くかすれたラジオ

病院の待合い室のチャンネルを韓流ドラマに勝手に変えるな

手術する決断を先に延ばしたく、おうどんのつゆしずしずと飲む

デフォルトで子宮を付けてくれずともわたしは困らず生きられたのに

卵巣も子宮もすっぽり投げ出してそこらの犬にくれてやりたい/森緑

『短歌研究1月号』短歌研究詠草 高野公彦選 準特選

丁寧な選後感想もありがとうございます。
よかったら立ち読みでもいいから読んでみてくださーい。

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職場詠?

今までわたしは、履歴書に書き切れないだけの転職をしてきました。自営業も自由業も正社員も非正規も激短ハード夜勤も夜のお仕事も(3日だけで辞めたけど)やってみました。なんか違うと思ったら辞めてしまうし、引き合いがあれば辞めてそっちに飛び込んでしまう。あ、ねずみ講に巻き込まれたことも案の定ありますよ。

まだよくわかってないけど、職場詠って、今のことしか詠まない決まりなんでしょうか?

過去の仕事のことを、決まった季節になると思い出すし、当時はことばであらわすことが出来なかった思いが今になって決壊したダムのようにうわあーっと押し寄せてくることもある。それを詠むのはただの回想なのか?

現在の職場詠を詠むことと同じ熱量で、あの頃のことを少しずつの連作(職業別とか?)にしてみたいと思ってる。
なかなか入れない職場で働いてたりしたことから、単純にあまり知られてない現場あるあるだけクローズアップされるのも意図するところと違う気がするし、ただの回想じゃないようにしたい。


【今日のうた】

コロッケがこんがり揚がる夕暮れの母に呼ばれるまでのうたた寝

 鳥居『キリンの子 鳥居歌集』

気になる結社に見本誌をお願いするの巻

① まずは結社のサイトを入念にチェックし、見本誌を送ってもらえるかどうか、その問い合わせ方法を調べます。

② 緊張しつつも丁寧かつ簡潔な文章で、初心者だけど短歌を学びたいこと、見本誌を送ってほしいことをメールします(誤字脱字がないか三回チェックしてから送信)。

→②' 思いがけず凄くあたたかい励ましと丁寧な返信を頂いたりして胸が熱くなりました。

③ あとはひざを抱えて見本誌が届くのを数日待ちます。


『短歌研究12月号』や角川『短歌年鑑』を読むと、短歌結社はものすごーく多くて、それぞれの結社にいる人数も想像を超えていて、何も知らなかったわたしはびっくりでした。
これから先、わたしが思いきり短歌活動、タンカツをがんばれる場所はどこなんだろう?と思ったので、気になる結社をいくつかにしぼって見本誌を送ってくださるようお願いすることにしました。

先輩方の「詠草が...」「締切が...」というツイートを日々拝読しているので、結社に入ってもきちんと確実に自分のペースで続けられるのか、すこし怖い気持ちもあります。自分はまだまだ覚悟が足りないのではないかと不安もあります。歌会童貞だし...。

でもでも、とりあえず!見本誌が無事届くのを待ちましょう!
タンカツ!タンカツ!


【今日のうた】

白い森は冬至を過ぎてなお静か光の綾をヴェールが揺らす

 竹内亮『タルト・タタンと炭酸水』

中日歌壇2016/12/19

古新聞みたいな色合いに写っちゃったけど、、、(^_^;)今朝の中日新聞なんですよ。。。

小島ゆかり選欄

「ご自愛」は優しい言葉 梅干しの入った三分粥の味がする/森緑


入院中、手術後は、絶食、流動食、三分粥、五分粥、全粥、と段階的に米が増えて固さを増してゆきました。流動食はどろどろのコーンスープみたいなのでしたから、三分粥になった時は「とうとうごはんやー!」ってしみわたるようにうまかった。添えてあるちっちゃな固い梅干しも、お粥に入れてふやかして。

入院セットに入ってた白いスプーンで食べるのですが、元気よくパクパク食べる体力はないので、一口ずつかんでかんでかんで、のみこむ、すごく時間がかかる。
食べるのも体力が要るので、三回の食事はたのしみだけど、食後にはちょっと疲れてしまう。そんな時に横になり、雑誌の広告欄のすみっこにボールペンでちょこちょこと短歌を書いていました。わたしには詩的なひきだしも無いし、実体験しか詠めないのですが。

中日歌壇の小島ゆかりさんの選歌欄はいつもあたたかいうたが多くて、そこに選んでもらえると、自分がちゃんと血のかよった人間だと認めてもらえたみたいな気持ちになれる。優しさと思いやりと人間的あたたかみに欠ける自分のことを欠陥人間と思いながら生きてるわたしには、とてもありがたい場なのです。

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悩める初心者

短歌をはじめて半年ですが、この頃はもう、自分の短歌が下手で下手で、つくる端からギャアーーーこんなんじゃアカーーン!!!の連続です。
泣きたいです、いや、泣いてます。

いつか、一年、二年、三年と続けて学んでいくうちに、ああ~そんな頃もあったねえ、ははは、みたいになるのかしら。


【今日のうた】

かくこうのまねしてひとり行きたれば人は恐れてみちを避けたり

 宮沢賢治

セロ弾きのゴーシュ』のかっこうの「かっこうかっこうかっこうかっかっかっかっかっ」ではないですが、道のむこうからかっこうの声まねしながらやって来る男がいたら、そりゃあ、こわくなって避けますねえ。(森緑)

ユーリオンアイス

アニメに疎いのですが、眠れないときAmazonプライムでたまたま観た「ユーリオンアイス」(公式 http://yurionice.com/)がすばらしいです。

崖っぷちスケーターの勇利(日本のユーリ)に興味をもってコーチになるためロシアからやって来たヴィクトルは、世界一のスケーターで勇利の憧れの選手。背中を追い続けた憧れの選手が、コーチとして自分だけを見ていてくれる、、、なんと激アツな師弟関係!!!

崖っぷちだったユーリよりも、今のわたしのほうが絶体絶命かも。

短歌がぜんぜん出てこない、絶望的八方塞がり。何からやったら打破できるかわからないし、このまま短歌の精神回路がふっつり途絶えたまま壊れちゃうのかな、とか不安。ナナちゃん人形みたいに二本足をずーんと短歌の世界に固定できてたらいいのに、おさまるところが無い落ち着きのなさにもやもや。

こんなとき、身近にヴィクトルがいてくれたら!!!
と思ってしまう。


【今日のうた】

敗者復活戦といいて立ちゆくいまひとたびを死なねばならぬ

 小原起久子『花喰い鳥』

短歌研究の密度が凄い。

退院後、思うように傷口がふさがらなかったり、痛みがつらかったりして、外に出られるようになるのが遅れてしまってます。まだ人の多いところや電車移動は不安なのと、きちんと座りつづけてるのがしんどいのが今の現状です。

12月、歌会デビューの計画は新年に持ち越すことになりそうです。( ノД`)… No...

そういえば今売りの短歌研究12月号、はじめてだからびっくりしたー!
全国の短歌雑誌の多さにもびっくりだけど、巻末の歌壇名簿は凄くびっくりしたー!巨大な短歌学級の連絡網のしかも濃密版みたいに個人情報がびっしりと!(@_@)
あとあと、あらゆる歌人の短歌がちょびっとずつ載ってる年刊歌集のページも読みきれないデータ量だぁ。この中からまた好きな歌人に出会えるのかもと思い、熱心に読みふけっています。


【今日のうた】

君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ

 北原白秋『桐の花』

角川短歌12月号にぢいさん長餅

退院後、急に調子が悪くなり、ほぼ寝たきりで2日おきに通院する日々を一週間おくり、今日は開腹の、いやいや、回復の兆しアリ。

昨日、定期講読の雑誌をまとめて母に受け取りに行ってきてもらいました。『短歌研究12月号』が特別定価で高くなってたため、またしても母は「短歌の本は高い」と思っちゃっただろうなあー...。

『角川短歌12月号』角川歌壇 坂井修一選 佳作で一首採ってもらってました。

ぢいさんが長餅食らふその様は「我が子を食らうサトゥルヌス」に似て/森緑

えー!?これ??
見たまんまなのにいいのかな、、、と一番迷いながら送った一首だけが採ってもらえる謎現象、、、

ゴヤの「我が子を食らうサトゥルヌス」を観るたび、その背景のストーリーを知っていても、じじいが長餅むにゅーって食ってる様子に見えてしまうんですよね。

こちらの画像を見せた旧友は、隣にならんでるほかの方の短歌も読んで感想を伝えてくれたのがうれしかった。
自分の一首をきっかけにほかの歌人の歌や、短歌そのものに触れてくれる人がいるなんて、まさに生きてる甲斐、生き甲斐があります。

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【今日のうた】

弁天堂のむかうほかりと見えてくるだぶだぶコートの鳥おばあさん

 坂井修一『牧神』

入院、手術、退院してきました

見ますか?見ますか?
摘出した内臓とその外側に大きく張り出した筋腫のグロ画像!凄いですよ!笑。

まだうちの中をのろのろ歩くだけで必死です。思ったより退院後のほうが大変かも。

あと、麻酔が切れた後つらくなると脳内の言語が英語で流れていたのが謎現象だった...。


【今日のうた】

くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針やはらかに春雨のふる

 正岡子規(明治33年の作)

たぶん、わたしのはじめて短歌はこのうたかな?とおもいます。子供の頃に出会って印象的でとても好きだったのを入院中に思い出しました。

詠み込む言葉の選択も大事!の巻

今月は体調も何とか戻り、名古屋で短歌の講座に出席できたー。\(^o^)/デキター!
(先月は体調不良で欠席...)

途中、加藤先生に「森さんは...今日が初めてですか?」と聞かれて「は、八月から居ますぅ...」と焦って答えるハプニングもあり。
キャー、、、わたしの存在感の無さもここまで来たら、くのいちになれるぞよ...。
(´д`|||)

今日の宿題は「文」を詠み込むこと。まだまだおっかなびっくりなので、また3パターン作っていった中から様子を見て一首を提出。

三日後に開腹手術 まっしろなニベアで腹に描く一文字 (森緑)

「腹」が重なってる点を指摘していただいて修正

三日後の手術を思う まっしろなニベアで腹に描く一文字


(手術、ほんとは五日後。うわあー、こわいよー。)

「文」を詠み込むにも人それぞれで(ほんと、思い付かないようなの色々あった!)、選択する言葉の大切さを学ぶことができました。


【今日のうた】

術前に読んでゐたのは誰だつたか術後異質な本が読みたい

 岡井隆『暮れてゆくバッハ』