恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

ありがたいことですが

ありがたいことですが、秋ごろから、角川『短歌』の特選、秀逸、佳作、『短歌研究』の準特選、『NHK短歌』の佳作、それから中日歌壇(両親にはこれしか見せないので新聞に載ると待遇が少しよくなる)に載せてもらうことが続いてました。

でも、わたしのつくりたいのと違う気がして...。

今、選んでもらって載せてもらってるのは、まだ生焼けの魚料理で、新鮮な刺身の良さもなければ、ちゃんと加熱もされてない生臭さの残る、味付けも整ってない気がして、紙面に載り人前に出たとき、まだもっと美味しくできたはずでは...と悩んでしまう。

もしかしたら、良い歌をたくさん読むようになって、目が(耳が?短歌脳が?)肥えてきたのでしょうか。

今日も一冊、新しい歌集を手にしました。
『新しい猫背の星』尼崎武
身を切り刻むように自分のことばかり歌にしているわたしからは、羨望のとおいとおい先にある言葉たち。軽やかで優しくて。

ああ、そうか、わたしが理想の歌を詠めないのは、中身がわたしのままだからなんだな。
(-_-;)


【今日のうた】

みずかけろん(とにかく水をかけまくるおばけ)に水をかけられている

 尼崎武『新しい猫背の星』

今朝起きたら脳が、、、

朝、目が覚めて、いつものように横になったままむにゃらむにゃら~と一首詠む(スマホのメモアプリに)。

あれ、ちょ、待って。
なんか知らんけど旧かなになってますやん。
無意識に、、、脳内の短歌設定が、、、
( ; ゜Д゜)

前にもこんなことあった。
手術して麻酔切れた後、熱が上がったとき、脳内言語が英語に切り替わっててすべての苦痛は英語で出てくるし日本語はカタコトの変な感じになるからナースコールも押せなかったのだった。。。


でも、今回のこれ、素敵~~~☆

旧かなだとこの前から意識してた「ぎゅうぎゅうにしない、ゆったり詠む」もすんなりできてる(気がする)し、言いたいことが刺々しくならずに詠める(気がする)。

でもつくりかけの連作30首は新かな。(・・;)

落ち着いたら旧かなも新かなも自在に使えたりするのかなあー。フフッ。

少しずつだけど、自分が詠みたい方向へ向かってるから、生きてるうちは精進したいな。

わたしの場合は短歌結社(未來短歌会・大辻隆弘選歌欄夏韻集)に入ってよかったと思う。

独りでは知ることができなかったことも多いし、月に一度歌会に行って夏韻集の先輩はもちろん年齢も所属結社も違う先輩方の歌を読ませてもらうことや、大辻先生から直に短歌のエッセンスを闘魂注入してもらうことも貴重な経験だと思う。

毎月、おなじ選者(わたしの場合は大辻先生)に読んでもらえる信頼感、安心感があるから、いろんな方法を試せるのだと思う。文語文法の本を確かめ確かめしながら、来月送る月詠は旧かなで行こうと試行錯誤してます。

タンカツ、やっぱりたのしい!!


【今日のうた】

髪五尺ときなば水にやはらかき少女ごころは秘めて放たじ

 与謝野晶子『みだれ髪』

短歌がテーマの読書会に行ってきました

名古屋に居た三年前まで近所で夜中まで通ってた延長で、いまだに月に一回くらいお邪魔し、お酒も飲めないのに終電までふにゃふにゃだららとおしゃべりする古本バーのcesta さん(cesta.jp)では、定期的にテーマを決めた読書会が開かれているのですが、今回はテーマが「短歌」でした。

今年に入ったころ「お客さんのなかで短歌に興味がある、短歌の読書会があればという声がある」と聞いて、まあ、わたしは「わーい、それやりたーい」とか大喜びしながら、特に何をしたというわけでもなかったのですが、八人の募集定員ちゃんと集まって始まりました。お店でよく読書会に参加されるメンバーの中で「短歌」というテーマにびびっときた人が参加されてる感じでした。

各自、おすすめの本を紹介していくのですが、普段、短歌する人と短歌の話をすることが多いなかで、短歌しない短歌読者と短歌の話をするというのは何やら新鮮で、ちょっと前ならわたしもそっち側にいたのに気づいたら短歌する人になってるの不っ思議ぃ~みたいな気分でした。

短歌をしないけど好きな作家がどこそこで書いていたのを読んでそれがきっかけでこの歌人が気になり読んでみて好きになった、とか聞くと、どこで短歌が待ち受けておるかわからんよ、ぬふふ、と思ったり。

この前まで書店員...というか地獄本屋の鬼店員だった立場からすると、都会のちゃんとした本屋は別として地方のジャスコに入ってるような程度の本屋には、手に取れる歌集は少なすぎる、元の職場には棚に詩歌の本が一冊も無かった。それでも短歌にたどり着く人を短歌の先輩はみんな温かく手をさしのべて迎えてくれる。だけど、もうちょっと手軽なところから短歌が読めるよ、というのを伝えたくてネットプリントをいくつか持って行ったらとても興味深く見てもらえたようだった。わたしも短歌を始めて半年ぐらいしてTwitterに流れてくるネプリの意味と出し方がわかった時は、読みごたえとお得感にびっくりしたし、ときめいたなあー。

蓋をあけてみれば、百人一首から若山牧水から蒼井杏さんから大辻隆弘さんまで各自持ってきて紹介した本がうまい具合にバラバラで、それも面白かった。参加者募集前にマスターと打合せした時点で、「実作しない短歌読者が選びがちなのではないか(選書がかぶる可能性)」と想定した穂村弘さんと鳥居さんはまったく一言も出なかったのも意外な気がした。


【今日のうた】

真水から引き上げる手がしっかりと私を掴みまた離すのだ

 笹井宏之『ひとさらい』

角川短歌3月号の加藤治郎選・青春短歌三十首から。

書き写しノート始めました

昨日も書いたネットプリント「短歌の本音」を読んで、太田青磁さんの短歌習熟法をまねし始めました。ザ・素直とよばれるわたし。先輩のいいなと思うところはすぐ見習うのです。へへへ。

わたしは短歌の知識もぜんぜん足りてないし、知らない歌人も多いから、バリバリげしげし歌集を読みまくらないとダメと焦ってた。けど、太田青磁さんの「一首を読む速度を下げる」という言葉にぴしゃーん!雷にうたれました。

早速、ノートに大辻隆弘先生の『水廊』を丁寧に書き写し始めました。
ほんとだ!一首、一首、止まりながらみっちり考えながら読める!今まで気になった歌や好きな歌だけ忘れないように書き留めたりしていたけど、そういうメモとは違う。「書き写して読み返す」という行為は、時間がかかって回り道でも自分の中へ吸収して血肉にするということなんだと思う。

自分は短歌をはじめた時点で知識が無さすぎたし、出てきた言葉を詠むことしかできなかったから話口調そのままな口語新かなを使ってきているのだけど、最近物足りなさやぎこちなさを感じることもある。他の人の歌も解りたくて文語文法もすこしずつ勉強中だし、自分の歌もきっともっと変わっていくのかな、と思う。


【今日のうた】

冬の日のみぎはにて立てばtoo late, It's too lateとささやく波は
 大辻隆弘『水廊』

わたしも好きなキャロル・キングの名曲「It's too late」の中でくりかえされる「too late It's too late」と、冬の日のささやくようにくりかえされる波音。静かだけどどこかしらやるせなく切ない。(森緑)

ひとつも歌が詠めない

この前の歌会で自分の弱点、反省点が明らかになったものの、克服に難儀しています。

わたしが苦戦している点は、「短歌はお話ではない」ということと、「ある瞬間をとらえてもっと細かいところまで描く」ということ。

もやもやしてる時、「短歌の本音 うまくなりたいのか?男たちの短歌上達法」を読んだ。ナイスタイミング、俺。
自分の歌を好きだと思えるような歌を少しでも詠みたいし、理想とする歌に近づきたい。
何年もつづけてる短歌の先輩方にも葛藤があることも新鮮でした。
中でも中牧正太さんの最後の文章、「面白いことを詠まなくてはと焦らずに」、とか、「失敗とごくまれに訪れる成功の積み重ねの先に短歌の上達が」に勇気づけられました。ありがとうございます。


【今日のうた】

草競馬見にゆく朝 新革を嗅ぐごとく濃きコーヒーを飲む

 小島ゆかり『馬上』

アツいタンカツ!伊勢歌話会

歌会参加、二度目でまだまだどきどきでした。

自分でもアリなのかナシなのかと考えていた歌もふくめて10首持っていきましたが、やっぱりだいたいはだめでした。(^_^;;;)

自分のだめな癖がわかってきたり、ああこういう歌が好きだなって傾向がはっきりしてきたり。これからも経験値を上げていきたいです。
今はまだ、コメントもうまく言えなくてもどかしいし、歌を詠んだのに的確なコメントをしてもらえなかったら残念だもの、ほかの皆さんに申し訳ないな、ってあせる気持ちもあるけど、とにかく、経験を積ませてもらう間に勉強して吸収します。

あとあと。今日の大辻隆弘先生の歌がとても好きで、帰り道ちょっと涙目に。
憧れの大好きな歌人のすぐそばでびしびしタンカツできるなんて、しあわせ過ぎて空港で暗殺されそうなレベルだよーーー。


【今日のうた】

寂かなる園丁がきて薔薇の実の朱あざらけく熟れたるを剪る

みずのうへに浮かぶ椿の花びらが木の下影のなかを過ぎたり

 大辻隆弘「デューデルの犬」

次のミッション、難題

うわあー。

今月の宿題は「ひな」(ひな祭りでもぴよぴよの雛でもOK)で一首だけど

難しい。

わたし、実は、ひな祭りを祝ったことが一度も無いんです、人生で。

子供の頃、ひな人形を買うこと、飾ることを泣いて拒否したので

うちには雛人形が存在しない。

おびなとめびなが絶対的カップルだなんてヘテロセクシャルの家父長制を象徴し過ぎてて子供ながらにヤダったんだろうか、そんな小さいうちから芽生えていたんですかねえ。

いやいや、ただ人形が怖かっただけなんですけど。リカちゃん人形も持ってないしね。

 

わたしの、「困ったら『岩波現代短歌辞典』を引け」が早々に発動されました。

ちゃんと「ひなまつり」出てます。

しかもっ、わたしの好きな小島ゆかりさんの歌が引用されてますっ。(あとで)

 

『岩波現代短歌辞典』553ページ「ひなまつり」によると、雛祭りを詠んだ短歌や俳句にはなぜかもの悲しさがつきまとうが、それは近代に至るまでの女性の忍従を強いられた生き方の象徴として雛人形が連想されるからであろう、とのこと。ほぅ…やはり。

 

『岩波現代短歌辞典』は(たぶん前にも書いたけど)読み物としても面白い。

わたしが買った時、二本のしおり紐は、荻原裕幸さんが書かれた見開き2ページの「寺山修司」の大項目にはさんでありました。

 

 

【今日のうた】

われにふかき睡魔は来たるひとりづつ雛人形(ひな)を醒まして飾り終ふれば

 小島ゆかり

 

瀬戸際レモン祭と初めての詠草

瀬戸際レモン祭から今日で一週間。
先週の土曜、蒼井杏さんの歌集『瀬戸際レモン』の出版記念パーティーにお邪魔しました。
ポエトリーリーディングと批評会とパーティー歌人の蒼井杏さんはじめ、それはもう色んな色んな方々に会えてじゅうじゅう充実の1日でした。たくさんお話を聴かせていただいたり、短歌な悩み相談にのっていただいたり、本当にありがとうございました!

あまりの情報量と体験を自分の中で処理するのにまだ時間がかかっています。

多くの方はご存知のように、最高に人見知りなわたしですが、未來に入会したことで、世代と選歌欄を超えて想像以上にフレンドリーに声をかけてもらったのがうれしかったです。わたしなんかが...と悩んだりもしたけど、結社に軸足を置いて詠みつづけて行こうと決めてほんとによかったな。


瀬戸際レモン祭から帰ったあと、ぐるぐるしていた未來五月号の詠草も無事に送り出すことができました。大辻先生からすぐに励ましのお葉書をいただいて、夏韻集の子になってほんとによかったな。
( 〃▽〃)


【今日のうた】

この鍵はだれかの指の味がする。わたしいつでもひざまずけるよ

 蒼井杏『未來』二月号 星ふる

未來に入ると蒼井さんの短歌も毎月読めるんですよー。v(^o^)

短歌充!短歌な新年会@名古屋!

楽しみにしていた短歌な新年会@名古屋、とても楽しい温かい集まりでした。

呼び掛けてくださった岩田あをさんのご人徳のおかげで、普段は活字でしかお会いできない歌人の方々もいらしていたり、Twitterで一方的に眺めていた方々とやっとお話ができたり、と短歌成分200%じゅーじゅー吸収しながら、若い衆からは若さのきらきらを分けてもらって10歳は若返って帰りました。

その場での細かなやりとりや、教えてもらったこと、奇妙な縁を感じる出会いや、盛りだくさん過ぎてここには書けない。

名古屋の短歌は、あつい。
名古屋をとりまく近隣の短歌な人々も、さらに遠くの歌人さえ集結してくる、名古屋、激アツだ。

幹事さんとして細やかな準備と気遣いをしてくださった(可愛い名札まで手作りしてもらってあった!感激!)岩田あをさん、超がつく人見知りのわたしの隣で安心させてくれていたえりさん、それから参加された皆さま、本当にありがとうございました!!


【今日のうた】

たのしいと思う気持ちが静電気めいて近づくたびにはじける

 辻聡之『短歌ホリック』「パリピナル」


「最後の初恋」のネプリから思ってるけど、わたしは辻さんの短歌が好きです。すごく調度いいバランスで気持ちを揺さぶられて、あっ、と思ううたが多くて。
実は、辻さんに憧れて、かりんへの入会を考えて見本誌も取り寄せたし、かりんの方はメールでのやりとりがとても心がこもっていて、結社を決めるときとても気持ちが揺れたのでした。

結社を決めた(後編)

選者が毎月決まっている結社とそうじゃない結社についても考えてみた。

わたしの理想の師弟関係は『マリア様がみてる』のスール制度に近くて、先輩であるお姉さまが後輩である妹を姉妹のように教え導き、そののち妹が先輩になった時、後輩を妹として導く、それが脈々とつづいていくような関係なので(わたしは紅薔薇姉妹推し!!)、いつも決まったお姉さま...じゃなくて選者がいいかなと思いました。そばで成長を見守ってほしい!!という願望もありますし。


たぶん、夏から、わたしのお姉さま...じゃなくて弟子入りしたい先生は決まっていたのだけれど、それ以外のすべての可能性を廃して迷いなく入門したくて、この一ヶ月ほど悩んでいた気がします。

何より一番の決め手になったのは、実際に憧れてた先生にお会いした時の「感じ」、あいまいにしか表せないけど「確信」だったと思います。


これからは、未來夏韻集でお世話になります。大辻隆弘先生のもとで、思いきってタンカツします。

まだ入会申し込み用紙を取り寄せているところなので申し込みはできてませんが、自分の居場所を見つけてわくわくしています。

結社を決めた(前編)

本当のところ、短歌を始めた瞬間から、わたしが入る結社も弟子入りする歌人の先生も、決まっていたのではないか、と思う。

夏頃には歌集を読んで、おなじ高校出身の歌人と知って勝手に「運命かも...!!!」と高まっていたのだけれど、秋の手術入院で歌会に参加できずタイミングを逸してしまった。


好きな歌人がいる結社、ということで決めようとするとあっちにもこっちにも好きな歌人はいるし、気になる結社の見本誌を取り寄せて年末年始じっくり見比べてみた。

好きな歌人が1人いる結社でも見本誌に載ってる歌の感じが全体的に好きじゃない(個人の見解です...)と気持ちは遠退く。逆に、各支部の活動報告ページに、三重県でも歌会が毎月開催されてると「おっ」と気になる。

(つづく...)

人生初歌会!!!

朝6時起床で名古屋栄は加藤治郎先生の短歌のドア講座でした。
お題は「お正月」でした。詠む人によっていろんなお正月があって、さすが~という感じです。

お隣のケンゾーさんの吹く笛でちょっと酔ってる獅子舞が来る/森緑

(でもね、来年からは来ないんだって、、、)


そしてそして。。。取って返して津にて、大辻隆弘先生の伊勢歌話会 in アスト津に遅刻しながら参加、あぁ、短歌はじめて半年にしてとうとう初歌会!!!

ちょっとここでは書ききれないくらいの密度、充実度です~~。喜。

今回は、急ごしらえで10首、自分で判断できなくてご意見をうかがいたいものばかり集めて持って行きました。

歌会って凄いなあ。独りでは読みがわからないと「困る」に帰着しがちなんですけど、あーんな角度やら的確な文法からこーんなに深く掘り下げて、、、自分の想像力と語彙力が追い付いてないから、もっともっともっとがんばっていこう!と思えました。

そして!
無所属新人から三重県歌人クラブに入会しました!
なんだか新年早々、色んなことが動き出して、少しずつ叶っていくのかな、と明るい気分です。

では、結社について考えたことは、次回。(^_^)


【今日のうた】

その内に蓬髪の魔女すまはせて自動販売機は灯りをり

 大辻隆弘『汀暮抄』