恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

未来12月号

うわあ、気づいたら2017年も12月、もうおわっちゃうよおぅ。誰かたすけてえええー。

そんななか、今月もクロネコメール便で未来がやって来ました。未来、来る!!


全然まったくひとっつも関係ないけど、「来る」って言葉を見聞きするたび思い出してしまうのは、オーム真理教全盛期に大学構内で見た「アーナンダ師来る!」というビラ。あーなんだってなんだよ、って笑ってたけど、しばらくして、すぐそばで松本サリン事件が起きてうちの学生も亡くなった。

短歌を始めて、「来る」という言葉とたびたび接するようになって、オームにつながる強烈な連想は薄らいできている印象はあるけど、それでもやっぱり思い出してしまうよね。あと、今の若者はオームのことを知らないとか聞くと、愕然としちゃう。過去ってなんなんだろね。


12月号の10首は、夏の盛りにちょっとだけ働いてしんど過ぎてすぐ辞めたドラッグストアのことなど当時リアルタイムで詠みました。ちょっと前の過去の自分を見てるように感じます。


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未来12月号 大辻隆弘選歌欄 夏韻集 森緑

明け方に人魚が泣いてる夢をみた目覚めてすぐの指の強張り

新しい職場に向かう意地悪な先輩なんてどこにでもいる

シャッターを降ろして避けるわけでなく御簾のこちらで観察をする

八円のもやしの袋はひんやりと露吹いたまま山積みにされ

コンドーム一箱だけを買う子にもポイントカードの有無をたずねる

膨らんだ牛乳パック、五時過ぎて半額になった菓子パンの群れ

残業を断れなかった帰り道月に向かって車を飛ばす

自販機の灯りの下に蝉の死骸ありて無糖のコーヒーを買う

泥舟の沈んだ先にある眠り明日の朝は来なくてもいい

両親は縁起が悪いと言うけれど北枕で寝るときの安らぎ

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