恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

未来2020年5月号のうた「ニトロは噛まずに」

今、世の中が非常時であるのに、いつものように「未来」5月号を届けてもらえること、ほんとうに有り難く感じます。

選者の方、編集をしてくださる先輩方、ほかにも見えないところで未来を作ってくださっている方たちに、感謝します。

 

さて。

明日は母の日です。

両親とは、わたしも兄も非常に折り合いが悪く、わたしがからだを壊して実家暮らしをするしかなくなってからしばらくは本当にきつかった。名古屋に帰りたくて、独りで好きに暮らしたくて、泣いてばかりだった。

最近は、考え方が変わらない親に対する諦めと、短歌という自分の世界に深く潜る装置を得たので、以前よりは円満に不仲です。

 

普段は忘れてるけど、わたしは一生母になることはないんだな、って母の日ぐらいは意識します。

まあ、10歳くらいの頃には「こども産まない」って固く決めてたので初志貫徹です。

 

 

未来5月号の歌はニトロをはじめて手にした頃なので、かなり昔のように思いますね。

 

このところ、「心臓やばい!」って時に限ってニトロは2階の寝室にあって、自分は1階の居間のソファで横たわってる、みたいな状況が多いので、薬剤師さんに言われたように常に一錠は携帯してないといけないのかも。。。

 

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ニトロは噛まずに  森田しなの

 

NHK短歌の大辻先生を母に紹介しつつ観ており

花首の落つる椿を忌む母とその痛ましさを愛おしむわれ

血の伯爵夫人に遠く導かれ美学に抗うすべ持たざらん

仏壇に上げたみかんが腐らない仏パワーと父は叫びぬ

門柱に居座る猿は南天の枝を引き寄せ実をむしり食う

生き物のにおいは苦手 中指でどうぶつしょうぎのゾウを動かす

気まぐれと呼べばあなたは消えてしまう秘密をもてば呼吸は浅い

ヒシナカの薬剤師さんは二度言えり ニトロは、噛まずに、舐めるようにと

薬袋を枕の右に据えながらニトロを噛まないイメトレをする

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今月号の工房月旦では、大西久美子さんに一首とりあげていただきました。

読んでもらえているんだっていう実感は、自信のないわたしにはとても大きな励みになります。ありがとうございます。

 

未来2月号から

周期表ながめておればおのずから毒性のある元素が浮かぶ/森田しなの

 

周期表あるあるかな、とおもったけど、わたしはあんまり飛躍した歌は詠めないので、ふつうのことでも丁寧に詠んでいきたいな、と思うことがあります。