恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

未来3月号の歌

今月は、夏韻集のタイトルと並んで載せてもらってて、とってもとってもとってもとっても恐縮と、わたしの中の広末涼子が歌っております。

わたしなんかがなんちゅうおそれ多いこと......!!!とイタタマレナイ気持ちでこれから一ヶ月、透明な嵐が過ぎ去るのを待ちます。
いいえ、これから一ヶ月、より深い思いで精進します。

お時間あれば、お読みください。m(__)m

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冬花火   森緑

東の和室の障子を開け放ち突っ立って見る山辺の花火

音よりも遅れて開く赤い花ホットワインはのどを滑りぬ

しゃっくりを百遍すると死ぬという四十七まで数えたりしも

アボカドは和名「鰐梨」父母は食わず嫌いのまま往ぬならむ

湯の中にからだ伸ばせばほの白くつまさきまでは見えなくなりぬ

抜け落ちた睫毛一本湯の中にゆるり沈みて消えゆきにけり

粕汁の夕げの後のひとときに酒のにおいは濃く留まれり

キッチンでこっそり酒粕かじるときトムとジェリーのチーズを思う

カーテンを透かして届く月明かり青いくすりをもうひとつ飲む

枕元に「エズラパウンド」と走り書きありていかなる夢を見たるや

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今月の大辻せんせいの選歌後記、すごくじーんと来ました。「歌は究極のところ、自分のために歌うものです。選者の嗜好や、点数や、まわりの評価だけを気にするのは、長い目で見て、あまりおすすめできません。」のところです。
わたしは自分のために、大辻せんせいのもとで歌をつづけていきたい。

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未来2月号の歌

あー。明日はバレンタインデーですか。
こどもの頃は甘いものが苦手で、チョコはおとなになってから食べられるようになりました。
今はふつうに食べます。

未来2月号の月詠を提出した頃は、ぜんぜん歌が詠めなくて、枯渇してるのを一首一首ぐりぐりしぼり出してどうにか十首送ったのでした。

よろしければお読みください。

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日曜のコインランドリーより吹き寄せるにおいに抱かれゆっくり歩む

ひさかたの天海祐希のCMに風邪の季節ははや来たるらし

ふさわしい気分じゃないのに間違って再生されてしまうボサノバ

おすすめのリスト「お休み前に聴くバロック」を聴くお休み前に

8の字の書き順は誤ったまま死ぬまで通すと決めているのだ

さみどりの湯船に映るさかさまの蛇口の声に耳をすませて

濡れている石鹸ひとつ取り落とす あなたが遠くなった世界で

石鹸のえぐれた傷は死神を信じる者の証のごとし

満月が近いのだろう遠くから濁って響くツィゴイネルワイゼン

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未来二年生になれました

一月になり、未来短歌会の二年生になれました。

短歌は孤独と仲がいいけれど、基本のキも知らなかった初心者のわたしは、伊勢歌話会に行って未来夏韻集に入らなかったら、何もできないままあっさり短歌を辞めてしまってたかも知れない。

未来二年生に無事にあがれたのは、大辻先生の存在や言葉をつねに身近に感じながら(最近は、歌をつくるとき「そこは甘すぎるんちゃうかなあ」とか大辻先生の肉声がわたしの内側から聞こえてくる)、優しくて素敵な先輩方やお仲間にもめぐまれて、あせらずのんびり詠み続けることができたからだと思います。

同じタイミングで、夏韻集の欄頭ファイブを常に飾って来た森本直樹さん(にゃん先輩)が未来年間賞を受賞され、夏韻集を卒業されることになり、とても感慨深いです。ただもう凄いなあ、って。にゃんパイセン、やっぱり凄いなあ!胴上げしたいです。

お祝いは今月会ったときに言おうと思ってとってあります。(^_^)

未来1月号の歌

未来1月号、年末なのに早くも届けていただけました。
たくさんの人の手で作られた『未来』は愛しく、いつも本当にありがたい気持ちです。

今月は振込用紙が添えてあったので、入会して一年なのですね、早いなあー。

1月号の歌を提出したのは10月、仕事辞めたり、短歌ではじめて賞をもらったり、気持ちがふわふわしていて変な感じの歌ばっかり出てきて、途方にくれた。名古屋の宿でギリギリまでかかって欠詠は免れたけど、やっぱり自分では握りのゆる過ぎる寿司みたいで今までで一番良くなかったんじゃないかな、そういう時は出さない方がいいのかな、と悶々としていた。

どうもわたしは、自分の歌について良し悪しがよくわかってないのかも知れない、つるんっと出てきたけどこれ絶対ダメな歌やん(>_<)と思う歌に限って、歌会でいいと言ってもらえたりするから。


そして、あかんあかんと思ってた1月号、夏韻集欄頭ファイブに載せてもらってありました。わたしの歌はうまいわけじゃないから、欄頭ファイブに載せてもらうときは、大辻先生から「もっとがんばれるで!」と励ましてもらってるのだと勝手に思っています。

よかったらお読みください。

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青春の歌  森緑

曼珠沙華どんな香りがするだろう手折ることさえできない花は

錆び切ったビニールハウスを背景にコスモスは立つ風になびいて

春夏と過ぎたる後に引出しの底から見つかるあさがおのたね

新月の夜の香りがするというカメヤマローソク売られておりぬ

花の香のようでもあるし晴れた日の波打ち際のようでもあって

あっそこはどっちがどっちだったっけミンキーモモクリィミーマミ

地下鉄の女性専用車両にて「赤福きらい」とかすかに聞けり

止まってはいない速さで回ってる中日ビルから見る観覧車

青春と評されし歌に赤ペンで青春の歌と書き留めておく

先生の表彰状を読むときのよそゆきの声を聞けたレア感

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この頃思うのは、本当に詠みたいことがあるけど今詠むとうまく表せなくて、いつか自分で納得いくようにそれを表現したいから今は鍛練を積んでるのだということ。
そのために表現がうまくなりたい。

未来12月号

うわあ、気づいたら2017年も12月、もうおわっちゃうよおぅ。誰かたすけてえええー。

そんななか、今月もクロネコメール便で未来がやって来ました。未来、来る!!


全然まったくひとっつも関係ないけど、「来る」って言葉を見聞きするたび思い出してしまうのは、オーム真理教全盛期に大学構内で見た「アーナンダ師来る!」というビラ。あーなんだってなんだよ、って笑ってたけど、しばらくして、すぐそばで松本サリン事件が起きてうちの学生も亡くなった。

短歌を始めて、「来る」という言葉とたびたび接するようになって、オームにつながる強烈な連想は薄らいできている印象はあるけど、それでもやっぱり思い出してしまうよね。あと、今の若者はオームのことを知らないとか聞くと、愕然としちゃう。過去ってなんなんだろね。


12月号の10首は、夏の盛りにちょっとだけ働いてしんど過ぎてすぐ辞めたドラッグストアのことなど当時リアルタイムで詠みました。ちょっと前の過去の自分を見てるように感じます。


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未来12月号 大辻隆弘選歌欄 夏韻集 森緑

明け方に人魚が泣いてる夢をみた目覚めてすぐの指の強張り

新しい職場に向かう意地悪な先輩なんてどこにでもいる

シャッターを降ろして避けるわけでなく御簾のこちらで観察をする

八円のもやしの袋はひんやりと露吹いたまま山積みにされ

コンドーム一箱だけを買う子にもポイントカードの有無をたずねる

膨らんだ牛乳パック、五時過ぎて半額になった菓子パンの群れ

残業を断れなかった帰り道月に向かって車を飛ばす

自販機の灯りの下に蝉の死骸ありて無糖のコーヒーを買う

泥舟の沈んだ先にある眠り明日の朝は来なくてもいい

両親は縁起が悪いと言うけれど北枕で寝るときの安らぎ

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ビギナーズラック発動の年間結果でました。

1月号~11月号までの結果でました。どーん。

ネ申7入りとは、なんというビギナーズラック。

上位六名には三ヶ月分無料でもらえるらしいから、あとちょっとのところで惜しかったです。
(´・ω・`)

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未來11月号の歌

あれ?おかしいーな?10月は仕事も辞めてまるっとのんびりしていたはずなんだけど、今月も月詠ができてないぞ??(*_*)

この頃、自分のつくる歌がどれもダメに思えて、ダメ短歌量産マシンもりみどver1.07という感じで、つくっては壊し、言葉をいじっては棄てる、の繰り返しです。

そんなオロオロの日々に新しい『未來』はやってきます。毎月きちんきちんと届けてもらえて、ありがたくじっくり読んでいるところです。


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未來11月号 夏韻集 森緑

赤と黄のハイビスカスが鳴き叫ぶ声聞きをりぬ風のない午後

扇風機止めておいてね昔みた魔法みたいに天花粉(てんかふ)が舞ふ

コンビニに浴衣姿のお相撲さん歩くと甘いにほひは揺れる

不採用通知が届きできるだけ大きな音を立てて破つた

日めくりを見てゐるだけでめくらない30日は明日へとつづく

気晴らしをしようと兄に誘はれてフレンチデートに向かふ夕暮れ

兄にしか言へない愚痴のあれこれと説明できない未知の味たち

兄の娘はわたしに似てるいちじくのミルフィーユ崩しながらうなづく

生け簀では伊勢海老三尾が立ち上がり折り重なつて上を争ふ

競ふこと馴染めずにゐて伊勢海老のもがく激しさただ見つめをり

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最近のことだけど、自分は何のために短歌してるんだろうと立ち止まって考えたことがあった。自分を掘り下げて見つめ直したい、自分の見たもの感じたものを記録しておきたい、という思いがメインで、短歌でほめられたいとか承認されたい欲求はほんとに薄いのだと思う。

ほめられるにこしたことはないから、ほめられたらうれしいけど、いやいやいやいや、こんなのまだまだダメ短歌ですからほめられるほどの出来ではないですよ、と頑固で冷徹な職人のような気持ちになって素直にお褒めの言葉を受け取れないときもある。

うまいこと言われへんけど、短歌はわたしにとってもっと違う存在だと思う。くわしくはまだ言語化できませんが。。。

来年はもうやらんぞ短歌研究詠草しんどかったもん

11月号の『短歌研究』が発売になり、今年1月号~11月号まで一年分の短歌研究詠草の掲載がおわりました。

毎月最後のページに付いてる応募券を貼ってはがきに五首書くという、そのきまりをきちんと守って出すことが、わたしにはまず難関でした。はがきに五首ってけっこうきついし、応募券貼るとこ無いやん...って何回も心が折れそうになりましたが、一年間つづけてみようと決めたので、今は何とかやり遂げた清々しさがあります。もちろん、もうしんどいしやりたくないから来年は出しません!

持ち点が加算されるシステムも地味にきつかったな...。
選者が代わる最初の号では(永田和宏さん以外の号は)、準特撰で五首掲載だったのに毎月は維持できないし、永田和宏さんが選者の間は特にガタガタで、持ち点システムだと数字で表されるから正直、イイイィーーーーーッて心掻き乱されていた時期もありました(主に永田さんが選者の三ヶ月間あたり...)。

メンタルつよくないからほんともうやりたくないです。最近は、新聞や角川短歌やNHK短歌への投稿もやめてしまった。(あ、いや、その、短歌研究詠草が嫌すぎて何もかも投稿が嫌になったと言ったら大袈裟だけど、この一年で投稿の(わたしにとっての)意味、意義についてよく考えることができたということでしょうか)。

結局、最終的には「34点」でした。
ほへ。どうなんだ??
それより、11回のうち3回の準特撰でそれぞれ違う選者の方から批評をいただけたのが有り難かったしうれしかったです。

短歌で初めて賞状もらいました

なんと!(おお!)
日本歌人協会東海ブロック大会 みえ短歌大会2017で秀作賞をいただきました。(びっくり!!)

わたしなんかがええのやろか...なにかのまちがいとちがうやろか...と悶々として、当日になってもまだ半信半疑のもわわわあーんと霧のなかにいるみたいでした。


真つ直ぐに駆け出す思ひはファの音でからだの内を巡りつづける/森緑


ちょうど無職になったタイミングだったけど、半月経っても両親の風当たりがきつくならないのはこの賞状のおかげ。


ありがとうございました!

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未來10月号の歌

『未來』に入会して半年以上が過ぎ、読みながらお顔が思い浮かぶ方や、お会いしたことはなくても素敵だなあと憧れる方も増えてきました。

今月もいい歌がいっぱい載ってて、わくわくします。

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未來10月号 夏韻集 森緑

紅薔薇は雨のしずくを全身に纏って左に傾いており

門柱の脇でピンクに咲く薔薇は人懐っこいまま色褪せてゆく

電話するって言われてすぐに断った耳の奥から恋してしまう

恋人は六年いない 裏庭の紫陽花の下に埋めた時から

めちゃくちゃにブラックベリーを潰すとき口裂け女のような微笑み

白桃にそっと歯を当てる体温がじわり上がって宵闇にいる

この恋は越えてはならぬと叱るよう夏至の夜更けに土砂降りを聴く

雷鳴をきっとあなたも聞いているテレビの音をふと消してみる

眼球をけぽんと外し一昼夜清水にさらし眼窩へ戻す

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そしてまた、今月も、月詠で悪戦苦闘しています。

まだ少し時間はあるので今月もギリギリまでがんばりまする。

伊勢歌話会で一歩ずつ成長を

昨日の伊勢歌話会は、偶然いつもは参加されるほかの結社の方もほかの選歌欄の方もお休みで、夏韻集の女子四人と大辻先生の少人数でいつものように和やかにみっちりと、いつもよりゆったり進んでゆきました。

初めて参加した頃は、自分以外の方の歌について、「むずかしくてわからんけどすごいなあ」的バクゼンとした感想をもっていたのですが、最近になってそれぞれの個性や雰囲気の違いが少しずつ解ってきた気がします。
キャラ立てしなくても歌の背後から「私」は立ち上がってくるから、と大辻先生がおっしゃったのはそういうことなのかな、と思いました。

昨日は大辻先生から「文体が幼い」というご指摘をいただいたことで、ああ!だから自分の思ってることを詠んだつもりでもできあがってみると仕上がりに満足がいかない(けれどどこかで妥協することで完成としてきた)ことや、ほかの人の歌と並べてみたとき浮き上がってるような違和感を感じることが多かったのか、とすごく納得がいきました。

大きな一歩!!!

すぐにはガラリと変更できないかも知れないけど変わりたい、よくなりたいと強く思っているので今に見ていてくださいよおう!!!

伊勢歌話会は和やかに熱心にみっちりと歌と向き合える貴重な時間。ちょこちょこっとした隙間に派生して聞ける大辻先生のお話がいつも興味深いです。昨日は特に、歌をやめる人、やめない人の違いについて聞けたのがラッキーでした。

今月は短歌研究詠草おくらなくていいぞー。

一年間通して送ってみようと決めていた『短歌研究』の詠草、気づいたら一年分を送り終えていました。(12月号は掲載がないのです、10月号を読んでて思い出しました) 今月は出さなくていいんだ~と思うとほっとしてしまうので、自分に課した一年間の宿題は、結社の月詠とあわせるとちょっと大変だったのかも知れません。

一年間のうち途中から未來に入会した後は、初心者の自分にはどうしようもなかったことですが、短歌総合誌に送る五首より所属する結社誌で師匠に送る十首に、より集中して優先して詠んでいたと思います。

年間通して四人の選者の方に毎月送り続けた結果、三人の選者の方には最初に送る月の詠草で準特選で採ってもらえて、ビギナーズラックかなぁと思いつつ、何より評を頂けるのが励みになりました。

そして、今月の10月号ですが、佐佐木幸綱さんの選歌で準特選に選んで頂いてました。ほんとにわたしのようなビギナーがおそれ多くて有り難いことです。

でも、、、職が決まらず歌も詠めずやぶれかぶれで送ったとはいえ、ふだん「これは直さないとあかん!」と気にしてる点がマル出しのモロ出しのうえ、そこについて好評価を頂いていて、「あっあー、これやっぱりあかんやつやーん、、、」と複雑な気持ちになっています、今。(*_*)ひゃー。