恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

結社に入ることを考え始めた。

なんと、いよいよ結社に入ることを考えるようになりました。

いろんな先輩に話を聴いたり、偉大な歌人の存在に思いを馳せたりするなかから、引き寄せられるようにそのような考えに至りました。
ご縁です。引力です。運命です。

インターネットは広く開かれているようだけど、わたしはもっと深く生身の師弟関係のなかに立ってみたいと思うし、そっちが向いてると思う。

短歌をある日突然はじめて半年、そろそろ「短歌ヒヨコ」の看板を下ろそうと思います。まだまだ初心者ですが、先輩方との交流を深めるなかで自分の殻を内側からこわしていきたいという気持ちからです。


【今日のうた】

雪の夜に食べる動物ビスケット やる気もなんにもないんだ今夜

 大辻隆弘『水廊』

すべての音が吸収されてしまうような雪の夜、あのおなじみの愛らしい動物ビスケットを食べるその時、独りなのでしょうか。それとも疲れた恋人のためにそっと差し出された優しい動物ビスケットをかじったのでしょうか。やる気もなんにもない雪の夜かんて、星降る晴天の夜より断然、切ないはず。おだやかな味わいの動物ビスケットを独りぼっちで食べるのでなければいいな、と勝手に願いつつも、きっと独りぼっちなのだろうな、その孤独でやるせない夜すら、うたになるとこんなに美しいのだなあと染み入るように感じました。(感想:森緑)

岡井隆さん

前から楽しみにしていた名古屋での岡井隆さんの講演会でした。

80代の短歌スーパースターは凄かった。
岡井隆さんが準備された手書きの原稿用紙の文字も素晴らしく味わい深くて好きなタイプの書でした。
(わたし、四年間書道サークルで書いてたから、人の書いた文字をじっくり見るのが好きなんです)

戸田響子さんの短歌が斎藤斎藤さんや穂村弘さんといっしょに例に挙げてあり、短歌のお姉さま、凄い!と思いました。わたしもとても好きなうたです。
バラバラになってもバナナはバナナなのにテープで房を固定する父 (戸田響子)

講演会の後、短歌のお兄さんこと小坂井大輔さんのお人柄と社交性に感嘆しつつ、人見知りながらも短歌のお兄さんのサポートを得て、新しく短歌の交遊関係を広げることができて、先輩方にいろいろな話が聴けて、充実のいちにちでした。

そんななかで、好きな歌人の作風と自分のダメ短歌が違いすぎて悩んでる件について相談した時、とても有効なヒントをいただけたのですが、そのとき「好きな歌人は...」って明かした場面は、ここ最近ないけど片想いの相手を気心知れた友に打ち明け話をするシーンにも似て、あとからちょっと照れました。

短歌ヒヨコ、ちょっとずつ世界が広がって、背中を押してくれる先輩方にも出会えたり、自分の殻を内側から壊していける予感がします。


【今日のうた】

詩はつねに誰かと婚ひながら成る。誰つて、そりやああなたぢやないが。

 岡井隆(『未来』近号から、とのことでしたが何号かはわかりませんでした)

今日の岡井隆さんのお話を楽しく拝聴し、そのチャーミングな感じ(なんて、わたしごときが言って良いのか?)が下句「誰つてそりやああなたぢやないが。」にぎゅっと表れてるように思いました。(感想: 森緑)

中日歌壇2016/10/10

この頃は両親の方が先に中日歌壇をチェックし、載っていないと明らかにがっかりしてるようなので、こっちがモヤモヤする。

「まだ4回ぐらいしか葉書出してないから!」
「朝刊には載りそうにない陰気な短歌しか送ってないし、小島ゆかりさんに一目読んでほしい片想いのラブレターみたいなもんだから!」
、、、とか両親に言っても言い訳にしか聞こえないだろうから黙して、毎週月曜は「ぐむむむ...」とやり過ごしてるんだけど。

今朝も言うに言われぬ憂鬱な言い訳と共に居間に降りると、母から「新聞、載ってるよ!」って朝刊渡された。

あ、そう、いや、あの、そう、、、みたいなね。
あまり両親を期待させないように喜んで見せないように控えたりして。はは。。。

これ、たぶん、一ヶ月くらい前に最後に送った短歌だとおもう。
うたの日の題「挽歌」でつくったけど出さなかった方のを中日歌壇に送ったのでした。


眠る前となりに居る気がするたびに呼んでみてさらにしんとする夜 森緑(中日歌壇2016/10/10)

寂しさが、ゆっくりとじわじわと胸に伝わってくる。内容を生かすリズムに魅力がある (小島ゆかり選評)

わあ...憧れの小島ゆかりさんにちゃんと読んでもらえてるんだぁ...ちょっと褒めてもらえてるの、凄くうれしいぃ...。きゃあぁ...。

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【今日のうた】

ドリブルの音の絶えたる真昼間はふかぶかと夏を待つ体育館

 大辻隆弘『水廊』(「恋してしまふ」)

ぼつになったのはどうしたら?

このところ、病院で検査だの、手術の決心だの、ミセ辞める宣言だの、気を張ってばかりいた反動か、頭痛にめまいに熱まで出ちゃって、月に一度の名古屋の短歌講座をお休みしました。しょぼーん。。。

ところで、新聞歌壇とか応募して採用されなかったうたは、廃棄処分しかないのな??
直してリサイクル、別のどこかに応募したらだめなのかな??

そんな横着をおもいつくようになるなんて、堕落のはじまりだろうか...。


【今日のうた】

たった今ねはんの過ぎてゆきたるとひざしの揺れのなかに山鳩

 吉川宏志『夜光』(『セレクション歌人32 吉川宏志』)

地獄ミセ辞めるぞおー

田舎のド腐れジャスコの本屋、辞めることにしました。
イエーーーーイ!

早く辞めたいけど、ブチ切れながらあと半月。

11月には子宮全摘出手術の予定で、それまでの10月後半と、退院後の年内はのーんびりしたいと思います。

短歌もぼちぼちやってますよ。ふふ。

【今日のうた】

お前さえいれば何にもいらないと言う男ならこちらが要らぬ

 玉井綾子『発酵』


これ、めちゃめちゃ共感するーー!!

ヒヨコ、はじめての短歌結社誌を買う。

週末の名古屋遠征前にちくさ正文館さんに電話でトリオキお願いしておいた『未来9月号』を、どきどきしながら読んでます。
ヒヨコ、はじめて短歌結社誌というのを読んでます。もう、もう、凝縮されてて、船酔いみたいになりながら読んでる。ぐらんぐらーん。。。

ヒヨコ、結社のしくみが何にもわかってなかった。三顧の礼により弟子入りを許可されるものかと思ってた。
短歌のお兄さんに相談して教えてもらったことと、はじめての結社誌を読んでみて、結社というものがちょこっとだけわかった気がする。

結社なんて、わたしみたいなヒヨコにはまだまだ手の届かない世界におもうけど、いっしょに切磋琢磨できる友がいるのは、凄く憧れる~。

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【今日のうた】

草枕修学旅行の夜投げた枕が土星の辺りを通る

 戸田響子『未来9月号』「枕投げ」

読書合コンのち平和園のち...

今回は、盛り盛り沢山の遠征でした。
ほぼどこでも全力疾走していたので、初めて会った人にはきっと「ぜぇはぁしてる人」と覚えられたことでしょう。

読書合コンでは、「おすすめの本」というテーマで持参した1冊を紹介しあって、その後2人きりどきどきトークの時間がありました。わたしは、ふせんビラビラに貼った蒼井杏さんの『瀬戸際レモン』をもっていきました。男子の顔も名前も全然覚えてないし、結果、誰かとカップルになることは無かったけど、「短歌おもしろいですよ!!!」ってことをとにかく伝えて帰ってきたから、これでいいのだ!バカボンのパパなのだ!

そのあと、ちくさ正文館さんで収穫してきた『未来9月号』をもったまま、歌人の聖地・平和園へ。

短歌のお兄さんは、ほんとうに守護天使のようなお兄さんです!お仕事中なのに申し訳ないくらいみっちり短歌の悩み相談に答えてもらって、励ましてもらえたので、ヒヨコもっと短歌力を高めて積極果敢にネットでも投稿でもリアルでもあちこち出掛けて行きたいなあー、と思いました。

合コンで短歌のことしか話せずに独りで帰る平和園まで


ヒヨコ、ちょっと勇気だしてその場でできたうたを短歌ノートに書いてきました。今みると、状況そのまんまですね。はは...。


そのあと、また読書合コンの反省会と月イチの発散おしゃべりにcesta さんへ戻り、前から会ってみたかった小説を書いてるもやしさんに会えたので、終電近くまで話して、おすすめの本を貸してもらいました。もやしさんがわたしの話すことが珍妙だったのか、しきりにメモとって聞いてくれてたのが新鮮でこそばゆくて面白かったなあー。


たくさんの人に会って話すと、自分のことを冷静にふりかえることができて、窮屈な殻を脱ぎ捨てることができるんだな、と今回は強くおもった。
ヒヨコの歩幅で一歩一歩成長しておりまするよ。


【今日のうた】

心臓は思ったよりも右側にあるのですって コサージュをさす

 蒼井杏『瀬戸際レモン』多肉少女と雨


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宿題ができない。。。

この頃、疲労がひどくて帰っても短歌できてない...。
宿題「踊」がむつかしくて、浮かんでこない...。


でも、明日がんばって働いたら、明後日は名古屋で読コン、そして毒抜きしてきます。
歌人の楽園・平和園でちゃーはーーーんしてリフレッシュしてきたいです。

そしたら宿題もできるかな?


【今日のうた】

純白の石鹸で手を洗ひたり富士を見にゆく十月の朝

 小島ゆかり『泥と青葉』

ブログ更新しない夜は

ブログをきちんと更新しない夜は、
①仕事で疲れ果て、クスリきめて早々と眠りへと逃げ切った
②同時進行で本を読むくせが顕著にあらわれ、あっちをめくりこっちへ戻り、本の人になっている
③短歌つくり熱がアチアチでブログのことまで気が回らない
の、どれかです。

今夜の正解は、江戸雪さんの歌集『声を聞きたい』を読んでるので、②ですね。


【今日のうた】

一本の飛行機雲があらわれてそろそろ涙ながしてもいい

 江戸雪『声を聞きたい』

勝手に自滅しない

この前の短歌講座の宿題「氷」で悪戦苦闘したあたりから、ちょっと停滞しています。
うたの日は全然だしてません。
ミセのことなどを詠んだ連作のような何かを、思いついては散漫に20首くらい書きためているけど、あまり良くない感情がうずまいていて読み返すとつらくなる。

短歌をはじめた頃、「自分で才能が無いと思って止めてしまう人が多い」ということを読んだ。

毎日、Twitterを見れば優れたうたが流れてくるし、好きな歌人の歌集を読めば圧倒されて、わたしのようなヒヨコでも劣等感に身を焼かれる思いでいる。

わたしは明確に歌人を目指すわけではないし、勝手に自滅してやめてしまわないように、今はメンタル綱渡りながら慎重に身の丈に合った勢いでつづけたいと思う。


それにしても今日読んでいた小島ゆかりさんの歌集がとても良くて、やっぱり好き...と恋人への恋心を再認識した乙女のような気持ちになっている。よくネットで見かける「はぁ、好き...」はこういう時に使うフレーズなのでは?と思ってる。
こんなうたがつくりたいと憧れてるけど、今はとりあえず、それが出来ない自分は置いといて、うたを読むのがしあわせだから良し、としたい。


【今日のうた】

この先のことが怖くてとりあへずいい匂ひするパン屋に入る

 小島ゆかり『泥と青葉』

人見知り学部留年中

今回は名古屋泊しないで早起きして短歌の講座へ。

宿題の出来がなっとく出来なくて、はじまるギリギリまで前後入れ換えたり直しては戻して。

嫌(や)な客が脳から離れない今日はコメダに寄って氷にするか (宿題「氷」 森緑)

いやー、毎日ミセにはめんどくさい人が盛り盛りやってきますからね、意地悪でしつこいクレームもあるし、脳にベットリはりついて離れなくて。帰り道、大音量でマリリン・マンソン聴いても癒されないときもあるんですよ...。そんな時はコメダの氷(わたしは珈琲味、もちろんソフトクリーム乗ってる)で完全に脳をちがう方向に向かわせたいとおもうんだよ。


というのを31文字に込めました。

加藤治郎先生はヒヨコの短歌にもちゃんと良いところを見つけてほめてくださるのが有り難いです。あ、そう、で終わりじゃないですか?こんなささいな日常...。こんなのでいいのかな?って毎回どきどきするんですが。


あと、未公開短歌、こちらも作ってました。短歌のお兄さんに初めて会ったときのことを詠んでみた。
( 〃▽〃)キャー

鍋を振るひろい背中がまぶしくてうつむいたまま飲む氷水


ほかの講座受講者さんのうたの中にも好きなのがあったりして、詳しく話してみたいと思っても人見知りがひど過ぎて全然話しかけたりもできない。短歌のお兄さんにもいまだに緊張してうまく応答できないぐらい(自分、イケメン耐性ないからか?)。

自分の短歌に自信がまるで無いからかも。
あと、名古屋住みだった時ならフツウだったのに二年前に引っ越したことでアウェイ感があるのかも。

あーっ名古屋戻りたし!!!


【今日のうた】

犬と猫どちらが好きと問ふ人ありパンもごはんも好きなわたしに

 小島ゆかり『泥と青葉』

読書好きの男子ーー。

9/18 に、古本バーcesta にて(名古屋・覚王山2番出口出て雨にぬれる間もないくらいスグ)、読コンあーりーまーすー!わたしも行ーきーまーすーー!(かなり張り切っている)

男子まだ募集中みたいですので、読書好きな恋したい30歳越えの男子のみなさん、今すぐ下記リンクで読コンについて見てくださーい。

http://www.cesta.jp/dokushyokai.htm


いま読んでる『たとへば君 四十年の恋歌』(河野裕子永田和宏) の影響もあって、いますごく恋がしてみたい気分なので、俄然はりきっているわたくしと、お友達からよろしくおねがいしまするる。


【今日のうた】

夕闇の桜花の記憶と重なりてはじめて聴きし日の君が血のおと

 河野裕子『森のやうに獣のやうに』