恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

未来2019年7月号の歌「春」

今月号も無事に届けていただけました。

毎月、一冊がたくさんの方による仕事で成り立ちこんな山奥まで届けていただけること、ほんとうに有り難いことです。

 

今月号は、四月、未来で月詠を送り始めて最もミッションインポシブルな感じに歌ができなくて、ほんとうに難儀して、とうとう十首出せませんでした、はじめて。

なんとかゴリゴリ出し切った九首を少しだけやけっぱちな気持ちで投函してしまったこと、自戒をこめてここに記します。あれはやっちゃいかん。

 

なので、もう、今月が来るのは気が重かったです。

開いてスカスカだったらどうしよう?と思ったけど、切迫して詠んだ九首が並んでいて、肩のちから抜けました。ふぅ。

 

そんな今月号はこちらです。

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春   森田しなの

 

眠りへと戻りゆくとき耳元に鹿のこえのみ高らかに聴く

 

まっすぐに聞けないことは増えてゆくマックの好きなメニューを語る

 

あの春にわたしをクビにした社長さいごは涙ぐんでいたよね

 

菜の花はやけに明るい熱帯魚 春はしずかに狙ってる蛇

 

散る桜すすむ暦に置いてかれ深夜降りだす雨は土砂降り

 

金属のつめたいドアに触れるときちいさな痛み、ほんのちいさな

 

紙パックの野菜ジュースはぬるくなりにんじんの味ばかり濃くなる

 

スピッツを春のはじめの季語としてわたしのなかの歳時記に書く

 

カカオ95%のチョコを食む苦みはわたしに目醒めよと言う

 

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先月デビューを飾った下谷育正さん、今月は夏韻集の欄頭ファイブ入りです!

いぇーい!!!

毎月の伊勢歌話会でもしっかりした学生さんやなぁと思って頼りにしていますが、期待のニューフェイスを未来誌面でも見守りつつ、わたしはわたしのペースで、自分の楽しみのために精進していきたいと思います。