恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

未来2020年3月号のうた「今生の罰」

今月号も無事に届きました。いつもありがとうございます。

 

今月号は、伊勢歌話会でいつも司会をお願いしていて、最近は毎日チャットのようにあれやこれや相談をしたり歌会関係ない愚痴も聞いてもらったりしている下谷育正さんのミニエッセイ「その日その日」が68ページに載ってます。下谷さんらしいわー、と思いながらニヤニヤ読みました。悪意のないニヤニヤと申しましょうか。そんな感じです。

 

工房月旦のページでは、鈴木美紀子さんに、12月号の歌から一首引いていただきました。

わたしのような、地味で目立たない歌にも見つけてわざわざ取り上げてくださる方がおられると思うと励みになります。

ありがとうございます。工房月旦なんて、わたしにはなかなか手の届かないページです。

ずっと前にも鈴木美紀子さんに一首引いてもらえたことがあり、その時もほんとうにうれしかったです。

12月号の連作からです。

お茶漬けを四杯食べて寝てやった夜中の俺が勝手にやった/森田しなの

 

今月号の歌は欄頭ファイブの二番手でした。畏れ多いことです。

順番はまったく気にしてません、とか言うと生意気みたいだけど、ちがうんです、晴れがましい位置に載るのがわたしには向いてなくて、怖いだけです。

 

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今生の罰    森田しなの

 

鯛焼きを水槽で飼う新月の夜に眺める激しい交尾

 

死神とお茶を飲みつつ聴いている世界の終わりを報せるラジオ

 

除光液の甘いにおいは満ち満ちて耽溺という言葉をおもう

 

ほんとうは偽薬ならばと考える薬物依存に怯える午後に

 

空腹はもっともリアル眠りから眠りの合間を這いながらゆく

 

人と会うきもちをつくり家を出る冬陽ぬくもる運転席に

 

初雪の破片にふれる手のひらに跡を残さず消える結晶

 

手袋を片方なくして帰る道エンドロールの如く降る雪

 

殺せずに一日終えたり今生の続く限りの罰と思いて

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殺すとか死神とか、よく出て来るなあ、わたしの歌。