恋を語る歌人になれなくて

2016,5月 LINEで送信したメッセージを「それは短歌だよ」と教えてもらったことをきっかけに、短歌な世界に引き込まれて行く。おそーるおそーるな一歩一歩の記録。

未来2021年7月号の歌「春のゆめ」

やだー。2021年も下半期に入っちゃったわ~~…。おそろしいぃ~…。

 

今月も、「未来」をつくって、届けていただけました。

たくさんの人の手で作られている一冊、毎月たのしみに待っています。いつもありがとうございます。

 

先月号につづき、70周年記念号です。会員のみなさんの自選五首とミニエッセイがたのしめます。

今月号は7月号とは別に、先日おこなわれた岡井隆をしのぶ会の冊子も届けていただけました。

わたしが岡井さんに最接近したのは、数年前、名古屋栄の中日文化センターで(たぶんそこでは最後の)講演会があった時、うろちょろしてたら偶然同じエレベーターに乗り合わせたことです。緊張しながら、全身を耳にして、岡井さんのお話されてることを聞き取ろうとしてしまいました…。

 

今月号も絶賛!うたが作れない期のわたしがお送りする、必死の月詠です。良い歌を詠もうの前に、とにかく欠詠だけは避けたい(欠詠したらもう戻って来られないまま辞めてしまいそうだから)の一心ですね。ははっ。

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春のゆめ   森田しなの

ふかぶかとソファに眠れば草を食む夢の岸辺に春雷を聴く

目覚めたる世界は萌黄色をして次の夢へとふたたび沈む

春のゆめ底まで潜って目覚めれば踵まで夢に浸かったままで

眠りからうっすら浮かべば父母の病気かという声を聞く。沈む

無秩序なうつつをつなぎあわせつつ眠りの合間を側転でゆく

テーブルに突っ伏したままサザエさんみてもみなくても明日は月曜

両親と殺人犯を予想して再放送を何度でもみる

植えてすぐジューンベリーの花が咲く わたしのなかの扉がひらく

中華風甘酢のにおいがするたびに刑務所のごはん思い出してる

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わたしの歌の3割が夢の歌なんではないか、と思うけど、一日の大半を夜昼なくぐうぐう眠ってしまって消化してゆくので、それはそれでわたしを映しているのかも知れない。

 

工房月旦のページでは、二首引いていただきました。大勢の精鋭揃いの夏韻集では目立たないわたしの歌ですが、丁寧に読んで評してくださる先輩方がいてくださることで、ほんとうに救われる気持ちになり、まだまだがんばろう、と思います。

ありがとうございます!

 

白井健康さんには、

わたくしの傷口に咲く青い花あわせ鏡に裸身を晒す

 

本条恵さんには、

父母がなんでもない日に易々とまとめ買いするハーゲンダッツ

 

の歌をそれぞれ引いていただきました。

 

さて。

早くも次の月詠の心配をしているわたしには、未来賞に応募できるほど歌ができませんので、今年も身近な誰かの受賞を祈って、受賞されたらやんややんやとお祝いすることを楽しみに正月まで生きます。

その頃には、会ってお祝いがいえる状況になっていますように。。。